【第2回】解説・雇用関係助成金

こんにちは。社会保険労務士の岡本です。第1回目となる前回は、高年齢者や外国人の方々を雇用する際に積極的に活用できる助成金について、その概要や受給のポイントなどを詳しく紹介させていただきました。第2回目となる今回は、労働者の育児や、育児目的休暇を取得しやすい環境整備や制度の導入、女性の活躍推進のための取り組みを行う事業主に対し、金銭的な支援を行う両立支援等助成金について、その概要や受給のポイントなどを詳しく解説していきたいと思います。

育児をおこなう労働者のための
助成金

① 育児休業等支援コース(両立支援等助成金)

・産休に入る前に育児休業復帰プラン、面談シート、引継ぎ書の3点セットを用意し、就業規則の変更を行ってから申請を始める助成金になります。産休に入る予定の女性労働者、または男性労働者がいれば、制度を導入してから始められます。

・前年に正社員で助成金を受給した事業所でも、契約社員で改めて助成金を受給することが可能です。支給の要件として、残業を制限し、手当も増やすなど「働き方改革」としての効果の実現が必要になります。

制度の概要

「育児休業復帰支援プラン」を作成し、またプランによる措置を実施し、労働者に育児休業取得および職場復帰させた事業主に一定金額を助成する制度になります。中小企業において戦力となる優秀な人材が、出産などのライフイベントを迎えても柔軟に継続して就業することを可能にし、能力を最大限発揮できる労務管理の整備を目指す事業主を支援する助成金になります。

1.助成金の構造
・助成金の構造は以下のとおりになります。なお、支給対象となるのは「中小企業」のみで、「大企業」対象外になります。

(1)育児休業復帰支援プランをもとに、対象労働者に育児休業を取得+職場復帰してもらい、「育児休業等支援コース」 の助成金申請手続きを行い、可能であれば以下のいずれかのオプション助成金を選択します。
(a)代替要員確保
➡︎事業所の外部の人に、育児休業を取得した労働者の穴埋めを依頼する場合
(b)職場支援加算
➡︎事業所の内部の人に、育児休業を取得した労働者の穴埋めを依頼する場合

2.職場復帰後支援
・対象の育児休業取得者が1か月以上の育児休業(産後休業を取得する場合は産後休業1か月)から復帰した後6か月以内において、以下の実績があればさらに加算されます。

(1)子の看護休暇制度
・子の看護等のため、小学校就学前の子につき、時間単位の利用ができ、かつ有給の休暇制度を導入し、10時間以上の利用実績がある事業主
(2)保育サービス費用補助制度
小学校就学前の子に係る臨時・ー時的な保育サービス(保育所等による恒常的な保育を除く)の費用の一部を労働者に補助する制度を導入し、3万円以上の補助実績がある事業主
受給額

1.育児休業取得時・職場復帰時
(1)1企業につき2人まで(正社員1人、期間雇用者1人)、それぞれ1人について、以下の額が支給されます。

2.代替要員確保時

・この代替要員確保時の助成金の支給は、1事業主あたり延べ10人まで支給されます。ただし、くるみん、またはプラチナくるみんの認定を受けた事業主については、本助成金の支給は令和7年7月31日までの間において延べ50人まで支給されます。なお、本助成金は上記1.(1)に記載の職場復帰時の職場支援加算とは併給されません。

3.職場復帰後支援

・育児休業から復帰後の労働者を支援する取組みを行った場合、以下の制度を選択することで助成金が上乗せされます。
(1)制度導入時

(2)制度利用時

4.生産性要件について

(1)企業における生産性向上の取組みを支援するため、助成金を申請する事業所において、生産性の伸び率が生産性要件を満たしている場合、一部の雇用関係助成金について、その助成額や助成率の割増が行われます。生産性要件とは、助成金の支給申請等を行う直近の会計年度における生産性が、申請年度の3年前と比較して6%以上伸びていることとなります。生産性要件は次の計算式によって求められます。

  • 生産性要件=生産性(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数
受給のポイント

1.ポイント
・以下の3点セットを、対象者が産前休業を取得する前に用意します。

(1)育児休業復帰支援プラン➡︎代替要員不足という前提でプランを策定します。
(2)面談シート➡︎対象者とのコミュニケーションを図るために作成します。
(3)引継書➡︎対象育児休業取得者の業務の引継内容や、人材配置などを確認するために作成します。

・この助成金は、育児休業復帰プランを立案し、規程に定め、その規定どおりに計画を進め、対象者を育児休業復帰まで導くことがポイントです。プランに何を盛り込むか、育児休業規程はどのようなものか、その会社で規定どおりの運用が可能なのかどうかについて検討する必要があります。また、対象者と上司、会社との面談で円滑な育児休業取得と復帰に向けた体制整備を行うことが重視されており、支給申請の際にも、面談の実績を確認することができる資料を添付する必要があります。

(1)育児休業復帰支援プラン
・育児休業復帰プランナーの支援により事業主が作成する、雇用する被保険者の育児休業の取得および職場復帰を円滑にするための措置を定めたプランをいいます。なお、育児休業復帰支援プランには、少なくとも次のすべての措置を盛り込む必要があります。

(a)育児休業取得予定者の円滑な育児休業取得のための措置として、育児休業取得予定者の業務の整理や引継ぎに関する措置
(b)育児休業取得者の職場復帰支援のための措置として、育児休業取得者への育児休業中の職場に関する情報および資料の提供に関する措置

※育児休業復帰支援プランにより、労働者の円滑な育児休業の取得および職場復帰を支援する措置を実施する旨の規定例と、労働者への周知については以下を参考にして、育児休業制度利用マニュアルや育児休業に関する規程などに規定し、社内報などにより労働者に周知する必要があります。

【規定例:育児休業復帰支援プランによる支援】
第〇〇条
会社は、育児休業の取得を希望する労働者に対して、円滑な育児休業の取得および職場復帰を支援するために、当該労働者ごとに育児休業復帰支援プランを作成し、 同プランに基づく措置を実施する。なお、同プランに基づく措置は、業務の整理・引継ぎに係る支援、育児休業中の職場に関する情報および資料の提供を含むものとし、育児休業を取得する労働者との面談により把握したニーズに合わせて定め、これを実施する。

(2)育児休業とは
・育児介護休業法に規定する休業をいいます。なお、育児休業中に、労使合意に基づき就労した場合、休業を開始した日から起算した1カ月ごとの期間において就労をしている日数が10日(10日を超える場合は就労時間が80時間以下であるときは、育児休業をしたものと判断します。

(3)代替要員確保とは
・育児休業取得者の代替要員を確保(新たな雇入れや派遣による代替要員の確保)することをいいます。そして、育児休業取得対象者に、連続して1カ月以上休業した期間が合計して3カ月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を取得させ、かつ原職に復帰させます。また、代替要員確保時の助成金は、職場復帰時の職場支援加算とは併給されないため、本助成金と、職場復帰時の職場支援加算(代替要員の雇用等を行わず、同じ職場の労働者が育児休業取得者の業務を代替する場合)のどちらかを選択します。

・規程例は以下のとおりです。育児休業開始までに規定を作成し、代替要員を確保します。

第〇○条
1.育児・介護休業後の勤務は、原則として休業直前の部署および職務とする。
2.本条第1項にかかわらず、本人の希望がある場合および組織の変更等やむを得ない事情がある場合には、部署および職務の変更を行う場合がある。この場合は、育児休業終了予定日の1カ月前または介護休業終了予定日の2週間前までに正式に決定し通知する。

(3)職場支援加算とは
・対象となる労働者が育児休業を取得することによって生じる要因の不足を、代替要員なしで業務の効率化を図って充足させようとする取組みを行うことにより助成金が加算されます。業務の見直し・効率化のため、育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業および育児休業をする場合には産前休業、産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)の開始日の前日までに、以下の取組みをいずれも実施していることが必要になります。

(a)対象育児休業取得者または業務代替者の業務について、見直し・効率化を検討し、業務の一部の休止・廃止、手順・工程の見直し等による効率化、業務量の減少、マニュアル等の作成による業務、作業手順の標準化が確認できること。
(b)対象育児休業取得者の育児休業中の業務分担を明確にし、業務代替者の上司または人事労務担当者が業務代替者に代替業務の内容、賃金について、面談により説明していること。

(4)職場復帰後支援とは
・以下の支援制度を作り、運用することをいいます。

(a)子の看護休暇制度
小学校就学の始期に達するまでの子の看護等のための有給休暇(労働基準法第39条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く)であって、時間を単位として付与することができる制度をいいます。
(イ)事業主の規定した制度に基づき、対象育児休業取得者が、原職等への復帰後6カ月以内に、1人につき20時間以上取得していることが必要になります(ただし育児休業取得者の配偶者が同一事業主に雇用され、休暇を取得している場合には、当該配偶者の取得時間と合計して20時間以上であること)。
(ロ)有給の休暇であるため賃金が支払われていることが必要になります。
(b)保育サービス費用補助制度
小学校就学の始期に達するまでの子に係る臨時的、ー時的な保育サービス(児童福祉法第39条第1項に規定する保育所、認定こども園法第2条第6項に規定する認定こども園または児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等による恒常的な保育を除く。)の費用の一部を補助するための制度をいいます。
(イ)事業主の規定した制度に基づき、対象育児休業取得者が原職等への復帰後6カ月以内に、対象育児休業取得者1人につき3万円以上補助したことが必要になります。
(例)ベビーシッター、一時預かり、ファミリーサポートセンター、家事支援サービス、病児・病後児保育等の利用
受給できる事業主

1.育児休業取得時

(1)中小企業事業主であること
(2)育児休業復帰支援プランにより、労働者の円滑な育児休業の取得および職場復帰を支援する措置を実施する旨を、申請予定の労働者の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業を取得する場合には産後休業)を開始する日までに規定し、労働者へ周知していること
(3)雇用保険の被保険者として雇用している育児休業取得予定者またはその配偶者の妊娠の事実について把握後、育児休業終了前と終了後に育児休業取得予定者の上司または人事労務担当者と育児休業取得予定者が面談を実施し、結果について記録していること
(4)育児休業取得予定者のための育児休業復帰支援プランを作成していること
(5)(4)で作成した育児休業復帰支援プランに基づき、育児休業取得予定者の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を開始する日までに業務の引き継ぎを実施していること
(6)雇用保険の被保険者として雇用している(3)〜(5)の該当者に、3カ月以上の育児休業 (産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業を含む)を取得させていること
(7)(6)の該当者を、育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を開始する日において、雇用保険の被保険者として雇用していること
(8)育児介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度および育児のための短時間勤務制度について、労働協約または就業規則に規定していること
(9)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届出、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知させるための措置を講じていること

2.職場復帰時
・職場復帰時は、さらに以下の要件が必要となります。

(1)中小企業事業主が、育児休業取得時と同一の育児休業取得者に対し、育児休業復帰支援プランに基づき、育児休業取得者の育児休業中に、職場に関する情報および資料の提供を実施していること
(2)育児休業取得者の上司または人事労務担当者と育児休業取得者が、育児休業終了前と終了後にそれぞれ面談を実施し、結果について記録し、その結果を踏まえ育児休業取得者を原則として原職等に復帰させていること
(3)面談結果を踏まえ、育児休業取得者を原則として原職等に復帰させ、育児休業終了後引き続き雇用保険の被保険者として6カ月以上雇用しており、さらに支給申請日において雇用していること
※ただし、就労を予定していた日数に対し、実際に就労した日数(年次有給休暇、母性健康管理の措置としての休業、産前産後休業、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇等、法に基づき請求できる休業は就労日に含む)の割合が5割に満たない場合は支給対象となりません。なお、労働協約または就業規則に規定のある育児または介護のための所定労働日数の短縮措置により所定労働日から除外された日は、就労を予定していた日数には含まれません。
(4)申請予定の労働者の同一の育児休業について、過去に「中小企業両立支援助成金(期間雇用者継続就業支援コース)」を受給していないこと
※ただし、過去に「中小企業子育て支援助成金」、「両立支援レベルアップ助成金」等の支給を受けていても、要件を満たせば受給は可能になります。

3.代替要員を確保する場合
・なるべく「原職」に復帰させることがポイントになります。代替要員確保時の助成金を申請する場合は以下の要件が必要になります。支給対象となる育児休業取得者が取得する育児休業については、事業主が労働協約または就業規則に規定する育児休業の制度における育児休業の範囲内である必要があります。

(1)育児休業取得者を、育児休業終了後、原職等に復帰させる旨の取扱いを労働協約または就業規則に規定していること
※なお、上記規定は対象育児休業取得者が原職等に復帰するまでに規定している必要があります。
(2)育児休業取得者の代替要員(次のいずれにも該当する者)を確保したこと
(a)育児休業取得者の職務を代替する者であること
※なお、育児休業取得者が複数の職務を兼務していた場合、その一部のみを職務とする者は代替要員とはみなされません。さらに、育児休業取得者が有資格者であり、その職務が当該資格がなければ実施し得ない場合は、代替要員も有資格者である必要があります。また、育児休業取得者に職制上の地位に係る手当が支給されている場合、代替要員にも当該手当が支給されている必要があります。ただし、代替要員が派遣労働者である場合や雇用形態が異なる労働者である場合など、育児休業取得者と異なる賃金制度が適用されることにより、当該手当の支給がない場合はこの限りではありません。
(b)育児休業取得者と同一の事業所および部署で勤務していること
※ただし、育児休業取得者の職務を企業内の他の事業所に移管し、他の事業所において当該職務を担当する代替要員を確保する場合は、育児休業取得者と代替要員が勤務する事業所が異なっていても差し支えありません。なお、育児休業取得者と同種の職務が他の事業所にあるというだけでは要件に該当しません。
(c)育児休業取得者と所定労働時間が概ね同等であること
※所定労働時間が概ね同等とは、代替要員の所定労働時間が短い場合は、育児休業取得者との所定労働時間の差が、1日あたりであれば1時間以内(1カ月あたりの所定労働日数が同等である場合に限る)、または1週あたりであれば1割以内の範囲であることとなっています。なお、代替要員の所定労働時間が育児休業取得者より長い場合は、上記(a)の要件が満たされていれば差し支えありません。
(d)新たな雇入れ、または新たな派遣により確保する者であること
(e)確保の時期が、育児休業取得者(またはその配偶者)の妊娠の事実(養子の場合は養子縁組の成立)について、事業主が知り得た日以降であること
(f)育児休業取得者の育児休業期間において、連続して1カ月以上勤務した期間が合計して3カ月以上または90日以上あること
※なお、単発的な短期の欠勤(各月ごとの所定労働時間の10%未満の場合に限る)、 年次有給休暇の取得日および雇用調整助成金の受給の対象となる休業については、本期間に算入して差し支えありません。また、1人の育児休業取得者の代替要員を複数の短時間労働者で確保する場合、あるいは期間を分割して複数の労働者で確保する場合も支給対象となります。さらに、育児休業取得者が役職者や専門的な職務を行う者である等の理由により、同一企業内で当該育児休業取得者の職務を他の労働者が担当し、その労働者の職務に代替要員を確保する場合(いわゆる「玉突き」の場合)も支給対象となります。
(3)事業主が雇用する労働者に、連続して1カ月以上休業した期間が合計して3カ月以上の育児休業を取得させ、かつ復職時に原職等に復帰させたこと、対象育児休業取得者を当該育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を開始する日において、雇用保険の被保険者として雇用していたこと
(4)対象育児休業取得者を、原職等復帰後、引き続き雇用保険の被保険者として6カ月以上雇用しており、さらに支給申請日において雇用していること
※ただし、対象育児休業取得者の原職等復帰日から起算して6カ月の間において、就労を予定していた日数に対し、実際に就労した日数の割合が5割に満たない場合は支給対象となりません。なお、年次有給休暇、母性健康管理の措置としての休業、産前産後休業、育児休業、 介護休業、子の看護休暇、介護休暇等、法に基づき労働者が請求できる休業については就労したものと見なされます。また、労働協約または就業規則に規定のある育児または介護のための所定労働日数の短縮措置により、所定労働日から除外された日は、就労を予定していた日数に含まれません。
※なお、育児休業終了後、事業所で定める休日、私傷病休暇、欠勤、その他上記に記載する休業等により育児休業終了日の翌日に現に勤務していない場合は、本要件に係る起算日は育児休業終了日の翌日とされます。育児休業終了後、現に勤務しないまま助成金の申請期限が到来した場合、本助成金は支給されません。
(5)育児休業取得者が派遣労働者の場合は、休業前から支給要件をすべて満たすまでの期間について、同一の労働者派遣事業を行う事業主に雇用されている場合に限り支給対象とすること
※ただし、当該労働者派遣事業を行う事業主が、当該派遣労働者の代替として、自社に登録されている、いわゆる登録型派遣労働者を派遣するなど新たな雇入れとは認められない場合は本助成金の対象とはなりません。
(6)対象育児休業取得者が有期契約労働者である場合の加算を受けようとする場合、対象育児休業取得者を、当該育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を開始する日の前日から起算して過去6カ月の間、雇用期間の定めのない労働者として雇用していないこと
(7)最初に支給決定された対象育児休業取得者の原職等復帰日から起算して6カ月を経過する日の翌日から5年を経過しない日までに支給要件を満たす労働者を助成金の対象とすること
※なお、過去に代替要員確保関連の助成金の支給を受けた事業主については、当該助成金において最初に支給決定された対象育児休業取得者の原職等復帰日から起算して6カ月を経過する日の翌日から5年を経過しない日までに支給要件を満たす労働者が助成金の対象とされます。

4.職場支援加算
・職場支援加算の支給を受けるには、業務引継ぎ書をもとに、当該育児休業期間中に、対象育児休業取得者、または業務代替者の業務の見直しや効率化のための取組みを行う必要があります。中小企業事業主が、育児休業復帰時の対象育児休業取得者の育児休業期間中に、次のいずれにも該当する場合に加算されます。ただし、代替要員確保時の支給と併給はされません。

※なお、(2)および(3)の取組みは、対象育児休業取得者の育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業および育児休業を取得する場合には産前休業。また、産後休業の終了後引き続き育児休業を取得する場合には産後休業)の開始日の前日までに実施する必要があります。

(1)対象育児休業取得者の従事する業務を、当該事業主が雇用する次のいずれにも該当する労働者に代替させていること
(a)雇用保険被保険者であること
(b)採用の時期が対象育児休業取得者(またはその配偶者)の妊娠の事実(養子の場合は養子縁組の成立)について事業主が知り得た日以前であること
(c)業務を代替する期間は、連続1カ月以上の期間が合計3カ月以上あること
※業務代替者は複数人でも差し支えありませんが、1人につき連続1カ月以上の業務代替期間の実績があること。なお、単発的な短期の欠勤(各月ごとの所定労働時間の10%未満の場合に限る)、 年次有給休暇の取得日および雇用調整助成金の受給の対象となる休業については、本期間に算入して差し支えありません。
(2)業務の見直し・効率化のために次の(a)(b)の取組みをいずれも実施していること
(a)対象育児休業取得者または業務代替者の業務について、見直し・効率化を検討し、 以下の(イ)〜(ハ)のうちいずれかの結果が確認できること。
(イ)業務の一部の休止・廃止
(ロ)手順・行程の見直し等による効率化、業務量の減少
(ハ)マニュアル等の作成による業務、作業手順の標準化
(b)対象育児休業取得者の育児休業中の業務分担を明確にし、業務代替者の上司または人事労務担当者が業務代替者に代替業務の内容や賃金について、面談により説明していること。
(3)業務代替者に対して、代替業務に対応した賃金制度(例:業務代替手当、特別業務手当等)を労働協約または就業規則に規定していること
※当該賃金制度は業務代替者が代替する職務内容、業務内容を評価するものであり、労働時間に応じて支給される賃金ではないこと。
(4)業務代替期間における業務代替者の賃金が増額されており、1カ月ごとの業務代替期間において1人につき1万円以上増額されている期間が合計3カ月以上あること
(5)業務代替期間において、すべての業務代替者の1カ月ごとの所定外労働時間が7時間を下回ること
受給手続き

1.概略
(1)まず、育児休業該当者を確認し、育児休業前後の働き方について面談シートを用いて面談します。その際、育児休業復帰支援プランに係る規程の策定・周知を行います。

(a)職場支援加算を行う場合➡︎業務効率化の取組み、業務代替者への賃金増額制度の整備を行います。
(b)代替要員確保を行う場合➡︎育児休業取得者を原職に復帰させる取扱いを就業規則に規定します。計画届等は必要ありません。


(2)その後、業務引継書を作成し引継ぎを行い、育児休業を開始します。

(a)職場支援加算を行う場合➡︎業務代替者への面談による説明を行います。
(b)代替要員確保を行う場合➡︎新たな雇入れ、派遣による代替要員の確保を行います。

2.支給申請期限
・育児休業取得者の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業)を開始した日から起算して3カ月を経過する日の翌日から2カ月以内に申請を行います。

3.手続きの詳細
(1)以下の書類提出が必要になります。

(a)両立支援等助成金 育児休業等支援コース(育児休業取得時)支給申請書
(b)対象育児休業取得者に係る面談シート
(c)育児休業取得者に係る育児休業復帰支援プラン(写し)
(d)申請事業主において、育児休業復帰支援プランにより、労働者の円滑な育児休業の取得および職場復帰を支援する措置を実施することを規定していることが確認できる書類(写し)
(例)実施要領、通達、マニュアル、育児休業規程など
(e)労働協約または就業規則(写し)
※育児介護休業法第2条第1号に規定する育児休業制度および育児のための短時間勤務制度を定めていることが確認できる部分(なお、育児介護休業法第2条第1号に規定する育児休業以外の育児休業についても制度を規定している場合はその部分も含む)
(例)本社等および育児休業取得者が生じた事業所の労働協約または就業規則の談当部分の写し。なお、育児休業取得者が生じた事業所以外であって、上記就業規則と異なる就業規則を規定している事業所がある場合には、その労働協約または就業規則の該当部分の写しも含みます。
(f)対象育児休業取得者の育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業および育児休業を取得する場合には産前休業、産後休業の終了後引き続き育児休業を取得する場合には産後休業)前1カ月分および育児休業期間3カ月分の就労実績が確認できる書類(写し)
(例)育児休業取得者の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳等
(g)対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類(写し)
(例)母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)等
(h)公表および周知が義務付けられるより前に、一般事業主行動計画が策定されている事業主については、自社のホームページの画面を印刷した書類等、一般事業主行動計画の公表および労働者への周知を行っていることを明らかにする書類(写し)
※ただし、次世代育成支援対策推進法第15条の2に基づく認定を受けた事業主を除きます。

(2)育児休業を取得している間は、対象育児休業取得者に2〜3カ月ごとに情報(社内報や業界誌等)を提供します。

(a)職場復帰後支援を行う場合➡︎1カ月以上の育児休業取得のあと、職場復帰までに子の看護休暇制度または保育サービス費用補助制度を就業規則等に規定します。

(3)育児休業取得対象者と面談し、当該育児休業取得対象者の職場復帰後6カ月以内に面談し、6カ月を経過する日の翌日から2カ月以内に2回目の支給申請をします。以下の書類提出が必要になります。

(a)両立支援等助成金 育児休業等支援コース(職場復帰時)支給申請書
(b)対象育児休業取得者に係る面談シート
(c)育児休業取得者の育児休業中の職場に関する情報および資料の提供を実施したことが確認できる書類(写し)
(例)提供した資料、イントラネットの掲示板等の画面を印刷した書類等
(d)育児休業取得者の育児休業期間、育児休業終了後それぞれの就労実績が確認できる書類(写し)(育児休業終了前3カ月分および育児休業終了後6カ月分
(例)育児休業取得者の出勤簿、タイムカード、賃金台帳、育児休業取得者が在宅勤務である場合は業務日報等
(e)労働協約または就業規則(写し)
※育児休業復帰支援プランコース(育児休業取得時)の申請時と内容に変更がない場合、再度の提出は不要になります。
※就業規則の作成および労働基準監督署への届出義務のない常時10人未満の労働者を雇用する事業主の場合で、就業規則の作成・届出をしていない場合は、制度の措置が明文により定められており、労働者に周知されていることを確認できる書類(労働者代表の署名があるもの)を提出する必要があります。
(f)公表および周知が義務づけられるより前に、一般事業主行動計画が策定されている事業主については、自社のホームページの画面を印刷した書類等、一般事業主行動計画の公表および労働者への周知を行っていることを明らかにする書類
※ただし、両立支援等助成金 育児休業等支援コース(育児休業取得時)の申請時と同一の行動計画期間内である場合は、再度の提出は不要になります。

(4)職場復帰加算を申請する場合
職場復帰加算を申請する場合は、上記の提出書類に加え、以下の書類の提出が必要になります。

(a)両立支援等助成金(育児休業等支援コース(職場復帰時/職場支援加算))実施結果書
(b)対象育児休業取得者および業務代替者が所属する部署全体または事業所全体の業務分担が確認できる資料(事務分担表等)
(c)賃金制度を規定した労働協約または就業規則
(d)賃金制度運用実績が把握できる業務代替者の賃金台帳(業務代替期間前1カ月分、 要件を満たした業務代替期間3カ月分
(e)業務代替者の所定労働時間および勤務実績が確認できる労働条件通知書およびタイムカード、賃金台帳、超過勤務管理簿(要件を満たした3カ月分を含むもの)
(f)生産性要件の適用を希望する場合には別途書類が必要になります(既述)。

(5)代替要員確保を行う場合の支給申請
・代替要員確保時支給申請書の他に、添付書類として以下の書類の提出が必要になります。

(a)労働協約または就業規則および関連する労使協定
(イ)育児休業取得者を育児休業終了後、原職等に復帰させる旨の取扱いを規定していることが確認できる部分
(ロ)育児介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度および育児のための短時間勤務制度を規定していることが確認できる部分
※なお、育児介護休業法第2条第1号に規定する育児休業以外の育児休業についても制度を規定している場合は当該部分も含みます。
(例)具体的には、本社等および対象育児休業取得者が生じた事業所の労働協約または就業規則を添付します。
※なお、対象育児休業取得者が生じた事業所以外の事業所であって上記就業規則と異なる就業規則を規定している事業所がある場合には、当該労働協約または就業規則を添付します。
※就業規則の作成および労働基準監督署への届出義務のない常時10人未満の労働者を雇用する事業主の場合で、就業規則の作成・届出をしていない場合は、制度の措置が明文により定められており、労働者に周知されていることを確認できる書類 (労働者代表の署名があるもの)を添付します。
(b)対象育児休業取得者の育児休業申出書(育児休業の期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書)
(c)育児休業取得者および代替要員の就労実績等に関する書類
(イ)対象育児休業取得者と代替要員の部署、職務および所定労働時間(対象育児休業取得者については、育児休業取得前と復帰後のそれぞれのもの)、所定労働日または所定労働日数が確認できる書類
(例)組織図、労働条件通知書(所属、所定労働時間、就労予定日数等が確認できるもの)、就業規則(所定労働時間が確認できる部分)、企業カレンダー等
(ロ)対象育児休業取得者の育児休業期間、育児休業終了後の就労実績が確認できる書類(育児休業期間分(育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業および育児休業を取得する場合には産前休業、産後休業の終了後引き続き育児休業を取得する場合には産後休業)取得前1ヵ月分を含む)および育児休業終了後6カ月分)
(ハ)代替要員の就労実績が確認できる書類(代替要員の雇入れ日から対象育児休業取得者の育児休業終了日までの分)
(例)育児休業取得者および代替要員の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳、また対象育児休業取得者が在宅勤務である場合は業務日報等
(d)代替要員が新たに雇い入れられた時期または新たに派遣された時期が確認できる書類
(例)労働条件通知書、辞令、労働者派遣契約書、派遣先管理台帳等
(e)対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類
(例)母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)等
(f)公表および周知が義務づけられる前に、一般事業主行動計画が策定されている事業主については、自社のホームページの画面を印刷した書類等、一般事業主行動計画の公表および労働者への周知を行っていることを明らかにする書類
※ただし、次世代育成支援対策推進法第15条の2に基づく 「くるみん認定」等を受けた事業主は除きます。
(g)対象育児休業取得者が有期契約労働者である場合の加算を受けようとする事業主については、対象育児休業取得者が雇用期間の定めのある労働者であることが確認できる書類
(例)対象育児休業取得者の労働条件通知書または雇用契約書等
(h)生産性要件の適用を希望する場合には別途書類が必要になります(既述)。

(6)職場復帰後支援を行った場合の支給申請
・申請期限は、育児休業取得者の育児休業終了日の翌日から起算して6カ月を経過する日の翌日から2カ月以内になります。産後休業のみ取得した場合は、産後休業終了日の翌日から起算します。申請時には以下の書類の提出が必要になります。

(a)両立支援等助成金(育児休業等支援コース(職場復帰後支援))支給申請書
(b)労働協約または就業規則および関連する労使協定(写し)
(イ)子の看護休暇制度または保育サービス費用補助制度を規定していることが確認できる部分
(c)対象育児休業取得者の育児休業申出書(育児休業の期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書)(写し)
(d)育児休業取得者の就労実績等に関する書類(写し)
(イ)対象育児休業取得者の部署、職務および所定労働時間(育児休業取得前と復帰後のそれぞれのもの)、所定労働日または所定労働日数が確認できる書類
(例)組織図、労働条件通知書(所属、所定労働時間、就労予定日数等が確認できるもの)、就業規則(所定労働時間が確認できる部分)、企業カレンダー等
(ロ)対象育児休業取得者の育児休業育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業および育児休業を取得する場合には産前休業。また、産後休業の終了後引き続き育児休業を取得する場合には産後休業))取得前1カ月分、育児休業期間中および育児休業終了後6カ月分
(例)育児休業取得者の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳。また、対象育児休業取得者が在宅勤務である場合は業務日報等
(e)子の看護休暇制度の取得申出に係る書類およびその取得実績が確認できる書類(写し)(※子の看護休暇制度の利用に係る申請を行う場合のみ提出)
(例)休暇取得者の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳
(f)保育サービス費用補助制度の取得実績に関する書類(写し)(※保育サービス費用補助制度の利用に係る申請を行う場合のみ提出)
(例)対象育児休業取得者が保育サービスを利用する際に受領した領収書等および申請事業主が当該保育サービス利用者に対して費用の一部または全部を補助したことを証する書類
(g)対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類(写し)
(例)母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)等
(h)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ており、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じていることが確認できる書類
(例)自社のホームページの画面を印刷した書類等
担当当局

・担当当局は申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)になります。

② 出生時両立支援コース(両立支援等助成金

・男性労働者の育児休業のための助成金です。男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組みを行い、配偶者の出産後8週間以内に開始する育児休業を取得した男性労働者が在籍する事業主を助成するものになります。平日、休日も含め、中小企業事業主の場合には、男性労働者が連続して5日間休業すれば支給を受けることができます。また、雇用契約期間が1年未満の有期雇用契約の男性社員でも助成金の対象となります。

受給額

1.育児休業助成
・男性労働者について、育児休業の利用実績があった場合に支給されます。また、2人目以降は、男性労働者が連続して取得した育児休業の日数に応じて表中の額が支給されます。

※<>内の額は生産性要件を満たした場合の額になります。

2.個別支援加算
・上記1.育児休業助成の対象となる育児休業を取得した男性労働者について、育児休業の開始前に、個別面談等の育児休業の取得に資する個別的な取組みを行った事業主に対し、次の額が加算されます。

※<>内の額は生産性要件を満たした場合の額になります。

3.育児目的休暇制度助成
・育児目的休暇制度を導入し、男性労働者について、利用実績があった場合に支給されます。

※<>内の額は生産性要件を満たした場合の額になります。

※中小企業・中小企業以外の判断は、支給申請日の属する月の初日における資本金等の額、または企業全体で常時雇用する労働者の数により行います。

受給額のポイント

1.支給の対象

・支給対象となるのは、子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業です。就業規則に労働時間の短縮措置を定めることも必要になります。契約期間が1年未満の契約社員の方も対象になります。

・「5日以上14日未満の育児休業」についてはそのうち所定労働日が4日以上、「14日以上の育児休業」については所定労働日が9日以上であることが要件となります。

・一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出、また公表し、労働者に周知させるための措置を講じていることが必要です。ただし、次世代育成支援対策推進法第15の2に基づく認定(くるみん認定等)を受けた事業主を除きます。また、休暇の前に以下のような取組みが必要です。

・子が産まれた男性労働者に対する、管理職からの育休取得の勧奨
・男性の育休取得についての管理職向けの研修の実施
・男性労働者に対する育児休業制度の利用促進につながるような資料等の配布

2.個別支援加算とは

・対象となる男性労働者の育児休業取得前に、育児休業を取得しやすい職場環境づくりとして、次のような取組みを休業開始日の前日までに、いずれも行った場合に加算されるものになります。なお、以下の取組みについて、同時に実施することとしても問題ありません。

(1)対象男性労働者への周知・個別面談
・育児介護休業法第21条に基づき育児休業に関連する制度(休業中および休業後の待遇や労働条件、関連する休暇その他両立支援制度に関する事項)に関する事項を、対象となる男性労働者に個別にメール、または書面等により周知します。また、対象男性労働者に対して、育児休業取得を促すための個別面談を実施します。
(2)対象男性労働者の上司への説明 ・対象男性労働者の上司(業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者) に対し、対象男性労働者に育児休業取得を促している旨の説明を行うこと。また、 対象男性労働者に明示した(1)の書面等を明示する必要があります。
受給できる事業主

1.次のいずれにも該当する事業主に支給するものとします。

(1)支給申請の対象となった男性労働者の育児休業の開始前3年以内の期間において、 連続した14日以上(中小事業主にあっては連続した5日以上)の育児休業(平成29年3月31日までに開始した育児休業であって、申請事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の有期契約労働者が、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業に準じて事業主が労働協約または就業規則に規定した制度に基づき取得した休業は除く)を取得した男性労働者が生じていないこと。

※ただし、1人目の対象育児休業取得者(下記(3)に該当する育児休業取得者をいう) について、すでにこの助成金の支給決定を受けている事業主を除く。

(2)平成28年4月1日以後に、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの取組みを支給申請の対象となった男性労働者の育児休業の開始日の前日までに行っていること。ただし、1人目の対象育児休業取得者について、すでに支給決定を受けている事業主を除く。

(3)雇用保険の被保険者として雇用する男性労働者が、連続した14日以上(中小事業主にあっては連続した5日以上)の育児休業を取得したこと。対象育児休業取得者が取得する育児休業については、事業主が労働協約または就業規則に規定する育児休業の範囲内である必要がある。

※ただし、当該育児休業は、当該育児休業の対象となった子の出生後8週間以内(子の出生日当日を含む57日間)に開始している必要があること。なお、子の出生日以前から開始した育児休業であっても、当該育児休業期間に子の出生後8週間以内の期間が含まれている場合は対象とする。また、同一の子に係る育児休業を複数取得している場合であっても、支給対象となるのは、当該育児休業のうちいずれか1回のみとなる。

(4)育児休業の制度と、所定労働時間の短縮措置(労使協定により業務の性質または業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者に関しては、育児・介護休業法第23条第2項に基づく始業時刻変更等の措置)について、労働協約または就業規則に規定していること。なお、当該規定は、支給申請日において施行されている育児・介護休業法の定める水準を満たしていること。
(5)一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長(以下「管轄労働局長」 という)に届け出ていること。また、当該一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知させるための措置を講じていること。ただし、くるみん等の認定を受けた事業主は不要。
受給手続き

1.産後の8週間が始まり、14日間(中小企業は5日間)の休業が始まるまでに以下の手続きを行うことが必要です。

・育児休業や育児短時間休業の制度について整備し、労働基準監督署に届出を行う
・一般事業主行動計画を策定し、所轄都道府県労働局に届出を行う

2.育児休業が終わった後は以下の手続きが必要になります。

(1)育児休業の開始日から起算して14日(中小企業にあっては5日)を経過する日の翌日から2カ月以内に、「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)支給申請書」 に次のすべての書類の写しを添付のうえ、事業所管轄の都道府県労働局長に提出します。

※ただし、(a)および(b)については、すでに当該申請を行ったことがある事業主で、その後内容に変更がない場合は、再度の提出は必要ありません。なお、支給申請は、支給対象労働者が生じた事業所にかかわらず、本社等が行うものとします。必要書類について原本の写しを提出する場合に、事業主による原本証明を付すことが必要になります。

(a)労働協約または就業規則および関連する労使協定の写し
・育児休業の制度および所定労働時間の短縮措置を規定していることが確認できる部分。具体的には、本社等および対象育児休業取得者が生じた事業所の労働協約または就業規則および関連する労使協定を添付します。

※なお、対象育児休業取得者が生じた事業所以外の事業所であって、上記就業規則と異なる就業規則を規定している事業所がある場合には、当該労働協約または就業規則を添付します。就業規則の作成および労働基準監督署への届出義務のない常時10人未満の労働者を雇用する事業主の場合で、就業規則の作成・届出をしていない場合は、制度の措置が明文により定められており、労働者に周知されていることを確認できる書類(労働者代表の署名があるもの)を添付する必要があります。

(b)男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの取組みの内容を証明する書類、および取組みを行った日付がわかる書類
※なお、1人目の対象育児休業取得者について、すでに支給決定を受けている事業主は、再度の提出は必要ありません。
(c)対象育児休業取得者の育児休業申出書
・育児休業期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書も添付します。
(d)休業期間の就労実績が確認できる書類
(例)育児休業取得者の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳
※育児休業前1カ月分および育児休業の開始後14日(中小事業主は5日)分のもの
(e)対象育児休業取得者の雇用契約期間の有無、育児休業期間の所定労働日が確認できる書類
(例)労働条件通知書、就業規則、企業カレンダー等
(f)対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類および当該子の出生日が確認できる書類
(例)母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)等
(g)公表および周知が義務付けられる前に一般事業主行動計画が策定されている事業主については、自社のホームページの画面を印刷した書類等一般事業主行動計画の公表および労働者への周知を行っていることを明らかにする書類(ただし、くるみん等の認定を受けた事業主を除く)
(h)支給要件確認申立書
(ⅰ)生産性要件算定シートおよび算定の根拠となる証拠書類
(例)損益計算書、総勘定元帳等
(j)与信取引等に関する情報提供に係る承諾書(生産性要件算定シートによる計算の結果、生産性の伸びが6%未満の場合)

(2)育児目的休暇制度を追加し、利用させた場合は以下の書類が必要になります。

(a)両立支援等助成金(出生時両立支援コース(育児目的休暇)支給申請書

(b)労働協約または就業規則および関連する労使協定(写し)
・育児介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度、育児のための短時間勤務制度および育児目的休暇を規定していることが確認できる部分。具体的には本社等および対象育児休業取得者が生じた事業所の労働協約または就業規則および関連する労使協定(育児目的休暇制度については、当該制度導入前の規定や改定履歴がわかる資料等)の写しが必要になります。

※なお、対象育児目的休暇取得者が生じた事業所以外の事業所であって上記就業規則と異なる就業規則を規定している事業所がある場合には、当該労働協約または就業規則の写しも含みます。

(c)男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りの取組みの内容を証明する書類および取組みを行った日付がわかる書類(写し)
(d)育児目的休暇取得者の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳
(e)対象育児目的休暇取得者の育児目的休暇を取得した期間の所定労働日が確認できる書類(写し)
(例)労働条件通知書、就業規則、企業カレンダー等
(f)対象育児目的休暇取得者に当該休暇取得に係る子がいることを確認できる書類および当該子の出生年月日または予定日が確認できる書類(写し)
(例)母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児目的休暇取得者の被扶養者である場合)等
(g)公表および周知が義務付けられる前に一般事業主行動計画が策定されている事業主については、自社のホームページの画面を印刷した書類等一般事業主行動計画の公表および労働者への周知を行っていることを明らかにする書類(写し)
※ただし、次世代育成支援対策推進法第15条の2に基づく認定を受けた事業主を除く
(h)生産性要件算定シート等

※なお、2回目以降(2人目以降)の申請で省略する書類がある場合は、提出を省略する書類についての確認書を添付します。

担当当局

・申請事業主の人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。

最後に

総括

・両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、対象となる男性労働者の方が育休を取得することで、2人目、3人目と助成金の支給を受けることができ、また中小企業事業主であれば、休日も含めて5日間(4日以上が所定労働日に対する休業)で支給の要件を満たすことになりますので、是非ともおすすめしたい助成金です。

次回のお知らせ

・厚生労働省は、企業が従業員に支払う休業手当の一部を負担する「雇用調整助成金」について、上限額や助成率を引き上げる特例を6月末まで延長すると発表しました。次回はこの雇用調整助成金を中心に、雇用安定のための助成金について詳しく解説していきたいと思います。

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