健康保険証の新規発行終了に伴い必要となる事業主対応について

健康保険証とマイナンバーカードの原則一体化の方針に基づき、2024年(令和6年)12月2日から健康保険証の新規発行は終了となります。これまでは、従業員の入社時に事業主(会社)が健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きを行うと、保険者(協会けんぽや健康保険組合)から健康保険証が交付されていましたが、2024年(令和6年)12月2日からは健康保険証は発行されず、医療機関等での受診の際には、原則「マイナ保険証」を提示することになります。

また、健康保険の資格情報を把握し、安心してマイナ保険証へ移行することができるよう、今月9月よりすべての加入者に対し、保険者から「資格情報のお知らせ」が順次発送されます。この「資格情報のお知らせ」ですが、被保険者分とその被扶養者分それぞれが個人別に封入され、事業主(会社)経由で従業員にお渡しすることになるため、その内容について、従業員にしっかりと説明する必要があります。今回は、健康保険証とマイナンバーカードの一体化(マイナ保険証)に関する概要と、それに伴い必要となる事業主対応について詳しく解説していきます。

マイナ保険証について

令和6年12月2日に健康保険証は廃止され、マイナ保険証を利用して保険診療を受ける仕組みに変更となります。従来の健康保険証は、令和6年12月2日に新規発行が終了します。経過措置として、令和7年12月1日までは使用することができますが、現在の健康保険証は令和7年12月2日以降、健康保険証として使用できなくなります。つまり、令和7年12月1日までに、マイナ保険証(マイナンバーカード)への変更が必要になります。

マイナンバーカードの取得率は令和6年現在79.8%となっており、国民全員がマイナンバーカードを所持しているわけではなく、約2割の方はマイナンバーカードを持っていません。また、マイナンバーカードを持っていたとしても、健康保険証として利用するための登録を行っていなければ、医療機関での受診時に利用することはできません。そのため、令和6年12月2日以降、マイナンバーカードを発行していない人や、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための登録を行っていない人については、「資格確認書」が発行されますので、マイナ保険を持っていない場合でも、「資格確認書」を医療機関に提示することで、今まで通り保険診療を受けることができます。

資格確認書イメージ

※資格確認書の材質やサイズは、従来の健康保険証と同じ(プラスチック製/カード型)になります。有効期間は4~5年なります。この資格確認書ですが、令和7年12月2日以降、協会けんぽが必要と判断した場合(マイナ保険証をお持ちでない場合やマイナンバーが未登録の場合等)にのみ発行されます。すべての加入者に対し発行されるわけではありません。

・健康保険証の新規発行終了と資格確認書の発行スケジュール(協会けんぽの制度説明資料より抜粋)

発行済みの健康保険証の取り扱いについて

健康保険証は令和6年12月2日に廃止されますが、現在お手元にある健康保険証は、離職等の理由で健康保険の被保険者資格が喪失とならない限り、令和7年12月1日までは使用することができます。令和7年12月2日以降は、お手元の健康保険証をご自身で破棄していただいても構いませんが、令和7年12月1日までは、離職等で被保険者資格を喪失した場合、健康保険証の回収(加入者➡事業所➡日本年金機構/協会けんぽ)が必要となりますのでご注意ください。

・健康保険証の経過的取り扱いについて(協会けんぽの制度説明資料より抜粋)

【R.6.12.2~】資格取得届等の手続きについて

健康保険・厚生年金の被保険者となる要件を満たす従業員が入社した際に提出が必要となる「資格取得届」や、扶養親族となるご家族がある場合に提出する「被扶養者異動届」の届出方法は今までと何ら変更はありません。ただし、令和6年12月2日以降、健康保険証は発行されず、代わりに「資格情報のお知らせ」が交付されることになります。

資格情報のお知らせとは

マイナンバーカードには、従来の健康保険証に記載されている記号・番号や資格取得年月日などの情報が記載されていません。このため、健康保険証廃止後の給付金申請の際に必要となる情報が記載された「資格情報のお知らせ」がすべての加入者(被保険者・被扶養者)様に対して、個人単位で発行されます。傷病手当金などの給付金の申請の際には、引き続き従来の健康保険証に記載されている記号・番号の記入が必要となりますので、この「資格情報のお知らせ」に記載されている情報が必要になります。また、医療機関等での受診の際、窓口設置のカードリーダーにトラブル等があった場合には、「マイナンバーカード + 資格情報のお知らせ」の提示で、医療機関での保険診療受診が可能となります。資格情報のお知らせ」は、万一の際に備えて、大切に保管しておく必要があります

なお、今月(令和6年9月)より、すべての加入者(既加入者)に対して、事業主(会社)経由で、記号・番号を含む被保険者資格等の基本情報が記載された「資格情報のお知らせ」が送付されます。「資格情報のお知らせ」ですが、個人単位で封入されていますので、被扶養者(ご家族)の分も従業員にお渡しいただき、被扶養者(ご家族)分に関しては、従業員からお渡しいただくことになります。

事業主(会社)に求められる対応

先にも触れたとおり、健康保険・厚生年金の資格取得届や、扶養親族となるご家族がある場合に提出する「被扶養者異動届」の届出・手続方法は今までと何ら変更はありませんが、マイナ保険証による医療機関等の受診の仕組みへの変更などについては、事業主(会社)経由で、従業員のみなさまへしっかりと説明していく必要があります。また今月(令和6年9月)から、健康保険に既に加入済みのみなさまへ「資格情報のお知らせ」が事業主(会社)宛に送付されます。被扶養者(ご家族)分も個人別で送付されますので、漏れなく従業員の方々へ配布する必要があります。事業主(会社)に求められる対応としては、以下の点にご留意ください。

事業主(会社)に求められる対応
① 令和6年9月より順次発送される、健康保険既加入者に対する「資格情報のお知らせ」を、その被扶養者分も含め従業員にしっかりとお渡しする。
② マイナンバーの確認ができていない加入者に対しては、「資格情報のお知らせ」にて、マイナンバーの提出をお願いすることととされているため、会社としては、マイナンバーの届出がされていない従業員のマイナンバーを正確に確認し、保険者へ届出を行う。
③ 加入者個人単位で発行される「資格情報のお知らせ」は万一に備えて大切に保管しておくよう従業員へお伝えする。
④ 保険者、特に協会けんぽではマイナ保険証の利用率目標が定められているため、従業員の方々に対し、医療機関や薬局での受診の際には、マイナ保険証で受診するよう積極的な呼びかけを行う。

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