外国人雇用における各種届出について
・外国人の方の入退社時における事業主がおこなうべき必要な届出に関しては、日本人従業員に対する取扱いと異なる部分がございます。今回は、外国人従業員を雇用する際に必要となる行政機関への届け出について、主にハローワークや年金事務所、出入国在留管理局への届出を中心に解説していきたいと思います。
現在の出入国在留管理制度では、外国人が転職した場合、ご本人がその事実を出入国在留管理庁へ届出なければなりませんが、外国人を雇用する事業主に対しても、当該外国人(資格外活動許可を受けた留学生アルバイトを含む)を採用した際、又は雇用を終了した際には、出入国在留管理庁に対してだけではなく、事業所所轄のハローワークへの届出が義務付けられています。
目次
外国人従業員が入社した際の届出
出入国在留管理庁への届出
(1)出入国在留管理庁に対する届出
出入国在留管理庁に対する届出は、対象となる外国人が入社したときに、中長期在留者の受入れに関する届出を最寄りの出入国在留管理局に直接提出するか、東京出入国在留管理局の担当窓口に郵送またはインターネット(出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト)のいずれかの方法で行います。
中長期在留者に関する届出
出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト
(a)届出対象者 | ・就労資格の在留資格(芸術・宗教・報道・技能実習・特定技能を除く)および研修の在留資格を持つ外国人従業員 |
(b)届出期限 | ・対象となる外国人従業員の入社日から14日以内 |
事業主がこの届出を怠った場合、罰則等はありませんが、今後の就労ビザ申請や、他の外国人従業員の就労ビザ更新に関してマイナス要素として考慮される可能性もございますので、届出の対象となる外国人従業員が入社した際には、かならず届出を行うようにしてください。
ハローワークへの届出
(1)ハローワークへの届出
ハローワークに対する届出も義務化されており、事業主がその届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金に処せられます。
(a)届出対象者 | ・日本国籍を有しない全ての外国人従業員が届出対象となりますが、在留資格【外交】【公用】【特別永住者】については届出不要になります。 |
(b)届出期限 | ・雇用保険被保険資格取得届:雇入れ日の属する月の翌月10日まで ・外国人雇用状況届出書:雇入れ日の属する月の翌月末日まで |
(2)届出の種別
ハローワークへの届出は、外国人従業員の雇用保険の加入の有無によって、雇用保険被保険者資格取得届、外国人雇用状況届出書のいずれかの届出を行います。
(a)雇用保険の被保険者となる外国人従業員の場合 ・就労系の在留資格を保持して、フルタイムで働く外国人従業員が該当します。 |
雇用保険被保険者資格取得届 |
(b)雇用保険の被保険者とならない外国人従業員の場合 ・雇用保険の適用条件を満たさないパートタイマー(31日以上の雇用見込みがなく、1週間当たりの所定労働時間が20時間未満の場合)や、全日制の大学などに通学する留学生、ワーキングホリデー中にアルバイトとして就労する外国人が該当します。 |
外国人雇用状況届出書 |
年金事務所への届出
(1)年金事務所への届出
年金事務所への届出については、健康保険・厚生年金保険の被保険者となる場合は、通常の日本人と同様に、その雇入れ日から5日以内に健康保険 厚生年金保険被保険者 資格取得届の提出に加え、厚生年金保険被保険者ローマ字氏名(変更)届を併せて提出します。
外国人従業員が退職した際の届出
1.出入国在留管理庁への届出
(1)出入国在留管理庁に対する届出
出入国在留管理庁に対する届出は、対象となる外国人が退職したときに、中長期在留者の受入れに関する届出(受入れの終了)を最寄りの出入国在留管理局に直接提出するか、東京出入国在留管理局の担当窓口に郵送またはインターネット(出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト)のいずれかの方法で行います。
中長期在留者に関する届出
出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト
(a)届出対象者 | ・就労資格の在留資格(芸術・宗教・報道・技能実習・特定技能を除く)および研修の在留資格を持つ外国人従業員 |
(b)届出期限 | ・対象となる外国人従業員の退職日から14日以内 |
ハローワークへの届出
(1)ハローワークへの届出
ハローワークに対する届出も義務化されており、事業主がその届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金に処せられます。また、外国人雇用状況の届出は、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要になります。
(a)届出対象者 | ・日本国籍を有しない全ての外国人従業員が届出対象となりますが、在留資格【外交】【公用】【特別永住者】については届出不要になります。 |
(b)届出期限 | ・雇用保険被保険資格取得届:離職日の翌日から起算して10日以内 ・外国人雇用状況届出書:退職日の属する月の翌月末日まで |
(2)届出の種別
ハローワークへの届出は、外国人従業員の雇用保険の加入の有無によって、雇用保険被保険者資格喪失届、外国人雇用状況届出書のいずれかの届出を行います。
(a)雇用保険の被保険者であった外国人従業員の場合 ・就労系の在留資格を保持して、フルタイムで働く外国人従業員が該当します。 |
雇用保険被保険者資格喪失届 |
(b)雇用保険の被保険者とならなかった外国人従業員の場合 ・雇用保険の適用条件を満たさないパートタイマー(31日以上の雇用見込みがなく、1週間当たりの所定労働時間が20時間未満の場合)や、全日制の大学などに通学する留学生、ワーキングホリデー中にアルバイトとして就労する外国人が該当します。 |
外国人雇用状況届出書 |
年金事務所への届出
(1)年金事務所への届出
年金事務所への届出については、健康保険・厚生年金保険の被保険者となっていた場合は、通常の日本人社員と同様に、退職日から5日以内に健康保険 厚生年金保険 被保険者資格喪失届を提出します。
事業主に義務付けられている届出とは別に、中長期在留者である外国人本人に対しても、居住地の市区町村に対する住居地変更などの届出に加え、主に出入国在留管理庁に対して、以下のような届出が義務付けられています。
(a)配偶者に関する届出 ※【家族滞在】【日本人の配偶者等】【永住者の配偶者等】が配偶者と離別・死別した場合の届出等 |
(b)活動機関に関する届出 ※所属機関に入社したとき・所属機関を退職したとき |
(c)活動機関の名称変更・所在地変更・消滅の場合の届出等 |
これら、中長期在留者である外国人本人が行う届出に関しては、その届出を怠った場合に、在留資格の取消しや、退去強制などの罰則が設けられています。
しかし、外国人本人の中には、このような義務付けられている届出を意図せずに、届出ていない場合も多くあり、事業主としては、会社に義務付けられた届出だけではなく、外国人従業員が行うべき届出についても、その届出義務を果たしているか常にフォローしていくことが重要です。
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