年間休日日数の決定方法とその考え方

「年間休日日数」とは、会社が定める1年間の休日数のことです。年間休日日数は、会社や雇用形態によって異なりますが、年間休日日数を決定するうえで、考え方の基本となるのは労働基準法になります。年間休日日数が何日になるのか、働く側にとっては非常に重要な雇用条件となるため、会社に対しては適切な年間休日の設定が求められています。今回はこの「年間休日日数」について、その決定方法と考え方、平均日数や最低ラインとなる日数など詳しく解説していきます。

年間休日の定義

年間休日とは、会社や事業者が定める1年間の休日数の合計のことで、労働基準法で定められた「法定休日」(※)と会社や事業者が独自で決定する「法定外休日」を合わせた日数が年間休日日数になります。年末年始休暇、夏季休暇、祝日などが就業規則や雇用契約等であらかじめ「休日」として定められている場合、これらの「法定外休日」も年間休日日数に含まれますので、年間休日日数は会社ごとに異なり、日数の決定も会社の判断に委ねられています

(※)法定休日とは、 労働基準法(第35条)に基づき、使用者(会社)が労働者に与えなければならない休日になります。 具体的には1週間に1日、または4週間を通じて4日の法定休日を付与することが義務付けられています

年次有給休暇については労働基準法によって定められた「法定休暇」であり、会社や事業者は労働者に対し、年5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられています。年次有給休暇は会社が定める「法定外休日」ではなく、取得できる日数やタイミングが労働者ごとに異なるため、「年間休日日数」には含まれません。

年間休日の平均値

主要な会社の労働時間などについて、厚生労働省が行った統計(令和5年就労条件総合調査)によると、令和4年1年間の年間休日日数は、1企業あたり平均110.7日(令和4年調査107.0日)、労働者 1 人あたり平均 115.6 日(同 115.3 日)となっており、階層別の割合で見ると、年間休日120〜129日が32.4%と最も多く、次いで100〜109日が31.4%となっています。

さらに、1企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、「1,000 人以上」が 116.3 日、「300~999 人」115.7 日、「100~299 人」が 111.6 日、「30~99 人」が 109.8 日となっており、会社の規模が大きくなればなるほど、年間休日日数も多くなっていることが読み取れます

年間休日日数の最低ライン

1日8時間、週40時間労働の会社で考えると、年間休日日数の最低ラインは105日となります。冒頭でも述べたとおり、年間休日日数を決定するうえで、考え方の基本となるのは労働基準法になります。労働基準法では「1週あたりの労働時間は40時間まで」かつ「1日の労働時間は8時間まで」と定められています(労働基準法第32条)。1年間の労働日数(労働時間)の上限は次のように計算できます。

① 1年間の週数 365÷7≒52.14週
② 1年間の労働時間数の上限 (365÷7)×40≒2085.7時間
③ 1年間の労働日数の上限 2085.7÷8≒260日
④ 年間休日日数の最低ライン 365-260=105日

 

年間休日日数の最低ラインを下回るケース

たとえば、1日の所定労働時間が7時間の場合、最大労働日数は297日(2,085.7時間÷7)となり、年間休日の最低ラインは68日になります。つまり、1日の所定労働時間が短い場合や、1か月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制(※)を採用している場合、年間休日日数が最低ラインである105日を下回ったとしても、法定休日である「週1日」または「4週を通じて4日」以上の休日が与えられていれば違法とはなりません。

※ただし、1年単位の変形労働時間制で、その対象期間が3か月を超える場合、年間休日の最低ラインが85日と定められていますので、1年単位の変形労働時間制を採用する場合は注意が必要です。

年間休日の日数別イメージ

➡年間休日日数は、会社や事業者ごとに異なりますが、年間休日日数を見れば、休日に関して会社がどのように定めているか、ある程度の傾向を見て取ることができます。具体的に見てみましょう。

年間休日日数が120日・125日の場合

「年間休日120日」の場合、週2回の休日と国民の祝日が休日として定められている場合がほとんどです。完全週休2日制で毎週土曜・日曜が休み、加えて国民の祝日は休日として定められている場合です。さらに「年間休日125日以上」の場合は、法定外休日として、年末年始休暇や夏季休暇が定められている場合が多いです。

① 1年間の週数 365÷7≒52.14週
② 完全週休2日制の場合に確保できる年間休日日数 2×52= 104日
③ 国民の祝日数(16日)を加えた年間休日日数 104日+16日=120日

 

年間休日日数が110日の場合

➡完全週休2日制の会社の場合は年間104日の休日が確保できることになりますので、年間休日日数が110日の場合は、残り6日間の休日を年末年始休暇などで確保、国民の祝日は出勤日とする場合が多いです。

年間休日日数が105日の場合

➡先にも触れたとおり、1日8時間、週40時間の会社の場合、年間休日日数の最低ラインは105日となります。そのような場合の1年間の労働日数(労働時間)の上限、年間休日日数の最低ラインの考え方、計算方法はこちらを参照ください。

適切な年間休日日数の設定を

以上ご紹介したとおり、1日8時間、週40時間労働の会社の場合、労働基準法により年間休日日数は105日が最低ラインになります。休日に関する事項は労働条件通知書に必ず明記しなければならない事項にはなりますが、年間休日日数の記載は必須ではありません。ただ、働く側にとって、年間休日日数は非常に重視している雇用条件の1つになります。ですので、労働基準法や36協定についてしっかりと確認したうえで、適切な年間休日日数を決定し、労働条件通知書や求人票などの明記することが好ましいと思われます。

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