月給制における1時間あたりの賃金額について

月給制(月給日給/日給月給を含む)の場合には、その月に支給される賃金の合計額(基本給+諸手当(※1))を、その月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には1年間の1か月平均の所定労働時間数)(※2)で除した金額が「1時間あたりの賃金額」いうことになります。会社は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合、法律で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。割増賃金を計算する際、この「1時間あたりの賃金額」を求める必要があります。考え方のポイントは2つあります。

(※1)「1時間あたりの賃金額」を求める際の算定基礎(分母)に含まれるのは基本給だけではなく、「諸手当」も含まれます。算定基礎(分母)から除外できる手当は以下の通りになります。

① 家族手当
② 通勤手当
③ 別居手当
④ 子女教育手当
⑤ 住宅手当
⑥ 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
⑦ 臨時に支払われる賃金

➡よって、基本給以外にも、これらに該当しない賃金は全て算入しなければなりません。また、上記①~⑤の手当についても、このような名称の手当であれば、全て基礎から除外できるというわけではありません。例えば、扶養家族の人数や実際に生じた通勤費、家賃の金額などに関係なく、すべての従業員に対し、一律で支給される手当の場合には算定基礎に含めなければなりません

(※2)月によって所定労働時間数が異なる場合には1年間の1か月平均の所定労働時間数を求めることになりますが、年間の労働日数が決まっている場合と決まっていない場合とで計算方法が異なります。

1年間の1か月平均の所定労働時間数の求め方
① 年間の労働日数が決まっている場合 { 年間所定労働日数×1日の所定労働時間数 }÷12
② 年間の労働日数が決まっていない場合

{ ( 年間の歴日数-年間の休日)×1日の所定労働時間数 }÷12

年間(365日)の休日が108日で、1日の所定労働時間が8時間の会社の場合
{ ( 365-108 ) ×8 }÷12=171.333…(※)
➡1年間の1か月平均の所定労働時間数は171時間(もしくは171.33時間)

(※)この「1年間の1か月平均の所定労働時間数」の計算における端数処理にとして、明確な規定はありません。ただし、手計算で端数処理を行う場合は、労働者に不利にならない処理として、端数を切り捨てるか、小数点第2位程度まで使用するのが一般的です

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